壁に耳あり

先日、とある講演会を聴講したときのこと。

開演前、後ろの席に座った女性の話を聞くともなしに聞いていると

「蘇我氏は天皇だったのよ。日本書紀にも、蘇我氏が即位したってちゃんと書いてあるんだもの」
え、何ソレ?
どこどこ、どこにどういうふうに書いてあるの?
と、振り返って聞きたくなってしまったけれど、そこはこらえてじっと聞き耳を立てる。
 
どうやら、古代史にとても「詳しい」女性が、連れの初心者にレクチャーしておられるようだ。
「高松塚もキトラも、蘇我氏のお墓なのよ。だって、あんな豪華なお墓、天皇じゃなきゃ造れないでしょ」
あああ、奥さま、高松塚もキトラも、あなたのおっしゃる「蘇我家」が滅亡したあとに造られたものなんですけど!
さらに、講演途中の休憩時間には
「聖徳太子は実在しなかったのよ。実在しない人のことを『背が高かった』とか言われてもねぇ」
ちょっと前はやりましたよね、その説。
でも、『聖徳太子』としてあがめられるようになったのは後世のことで、『厩戸皇子』という王族は実在した、という論調だったと思いますけど……。
まあ、「蘇我氏が即位した」というのも、きっと「八侑の舞」あたりからひっぱってきた説なんでしょう。
「即位したってちゃんと書いてある」というのは言いすぎかと思いますが。
それにしても、ああいう講演会では、どこにどんな人がいるかわからないので、あまりべらべらと知ったようなことを喋り散らさないほうがいいと心に誓った梅前だったのでした。
だって、私みたいな中途半端な人間はまだいいけど、あっと驚くような大御所の先生が、すました顔して客席に座ってたりしますからね!
 
壁に耳あり障子に目あり。
 
皆さんも気を付けましょう。
 

コメント