桃太郎伝説

ご覧になった方も多いと思うけど、ペプシのCM「桃太郎編」がめちゃめちゃかっこいい。(2014年5月現在)
ハリウッド映画の予告編みたいだ。

桃太郎役の小栗旬もいいけれど、何よりキジがかっこいい。
マシュー・ボーンの白鳥を彷彿とさせる。
いや、このキジのほうが素敵かも。
本当に映画にしてくれたらいいのになぁ。

‥‥などということを、東京国立博物館でやっている

「キトラ古墳壁画展」

の行列に並びながらつらつらと考えていたわけだ。

昔話はみんなそうだけど、桃太郎の話って、ツッコミどころ満載だよね。
大体、「桃から生まれた」って何?
何かの比喩なのか?
あと、お供が「犬、キジ、サル」って。
「熊、トラ、イノシシ」くらいのセレクトじゃないと、鬼には勝てないぞ。
さらに、命をかけた軍事行動の見返りとしては「キビ団子」はいくらなんでも安すぎる。

‥‥と、春も盛りのうららかな風に吹かれつつあれやこれやと得意の妄想を繰り広げていたら、

「お供がなぜ犬、キジ、サルなのか」

の謎が不意に解けた。
行列にも並んでみるもんである。


ちなみに、キトラ古墳壁画展は、大変な混雑であった。
平日ならすいてるだろうという予想は大はずれ、入場までに1時間もかかった。
それでも、とてもお天気のよい日だったので、さわやかな風に吹かれながらのんびりと行列させていただいた。

柔らかな新芽をそよがせるケヤキ。
小さな手のひらみたいな青いモミジ。
緑色の小さな実をそっと落としてくるエノキ。
ツツジは満開、足元には小さな花が咲き、なんか得した気さえする行列だった。


で、ご存じのようにキトラ古墳は、7世紀末~8世紀初めに構築された
奈良県明日香村の古墳である。
その壁面には

南に「朱雀」、西に「白虎」、
北に「玄武」、東に「青龍」


の四神が描かれ、さらに天井には

精密な天文図

が描かれている。
キトラ古墳の壁画は、発見された当初から傷みが深刻だったが、保存・修復のため壁から取り外され、今回「朱雀」「白虎」「玄武」とその下に描かれていた十二支のうち「子」と「丑」が公開されたのだ。

「壁画の発見以来、明日香村以外で公開されるのは今回が初めての機会となります」
 (キトラ古墳壁画展チラシより)

と言われてしまっては、行かないわけにはいかない。

ま、そう考えている人は多かったらしく、平日だってのに大行列だったわけだ。
5月18日までやってるらしいけど、ゴールデンウィーク中はまさに「大混雑」するんでしょうな。
皆さん、頑張って並んでください。



で、桃太郎についてである。

桃太郎のお話は、日本人なら誰でも知っていると思うけど、先ほども書いたとおり、冷静になって考えてみるとあの話、ちょっと不自然だよね。

まあ、のっけから

「桃の中から子供が出てくる」

ってのに驚かされる。

桃から子ども。

何、その設定。
そんなところから

「桃太郎宇宙人説」

なんてのが出てきたりするわけだけど、私が思うに、あれはきっと

おじいさんとおばあさんの実子

だよ。
今でこそ30代40代での出産は珍しくもなんともなくて、見た目もみんなまだまだ若いけど、むかしむかしは、30、40にもなれば見た目はもう完全に「おじいさんとおばあさん」だったはずだ。
いや、今の時代も、白髪染めがなかったらみんな結構白髪なんだぞ?
あの人なんであんなに若いの?なんて言われている女優さんも、ちまたのイケてるアラフォーも、白髪染めがなかったら

「ぱっと見、みんなおばあさん」

なはず。
いや、ワタクシは、シワはともかく白髪は(あまり)ございませんのよ、オーッホッホ。

‥‥いや、それはともかく。

昔話のおじいさんとおばあさんは、

「あれ? 赤ちゃん生まれたの?」

なんて村の人に聞かれて、

「いやいや、このトシで子どもなんかできるわけないじゃないですか。
 この子は、ええとあれだ、川で拾ったんですよ、川でね。
 流れてきた大きな桃を割ったら中に入ってた、ってわけで」
などと苦しい言い訳をしたわけだ。
別バージョンとしては
「竹を切ったらその中に入ってた」
ってのもある。

以上の考察から、桃太郎の出自が明らかになった。
(↑誰だお前)

次に問題になるのは、「お供」である。
「サル」と「犬」と「キジ」。
これってどうなの?
頼りになるわけ? 戦力として。
さっきも書いたように、「熊、トラ、イノシシ」くらいのほうが、味方としてよほど心強い。

まあ、犬はシェパードが警察犬になるくらいだし、サルもキーキー言いながら引っ掻いて多少は頼りになるのかもしれないけど、「キジ」はないでしょう、「キジ」は。
だって相手は「鬼」だよ?
気の毒だけど、片手でバシッと落とされてあえなく落命、ってのが関の山でしょう。
子どもの頃からこのお話を聞かされているからとりたてて変に思ったことはないけれど、冷静に考えるとこの人選はかなり不審だ。



ところで、先ほども書いたように、キトラ古墳の壁画は、東西南北4面にそれぞれ四神が描かれている。
そのさらに下方には、十二支がそれぞれ3体ずつ描かれていたらしい。
真北に「子」が置かれ、そこから始まるので、


          
         (玄武)
        亥・子・丑
 
  西             東
(白虎)          (青龍)
戌・酉・申         寅・卯・辰

          
         (朱雀)
        未・午・巳

となる。
‥‥お気づきになっただろうか。
「西」に揃った干支に。

戌・酉・申。

まさに「犬」「鳥」「サル」。
桃太郎のお供たちは、

「西」を指し示す干支なのだ。

「西」が何を意味するのか。
西へ向かったということか。
それとも、西からやってきたということか。

それはちょっとわからない。
ただ、不審にも思えるお供たちの選択には、ちゃんと意味がある、ということだ。
それを率いる「桃太郎」はさしずめ「白虎」といったところだろう。
そう考えると、明るい昔話の主人公だったはずの桃太郎が、突然、不気味な影をまとって立ち上がってくるような気がする。



‥‥というような「大発見」をし、勇んで帰宅してネットで調べてみたら、

そんなのとっくの昔にみんな知ってた

ことでした。くっすん。
剣岳に初登頂した人が山頂で山伏の錫杖を見つけた時のような
虚脱感を味わいました。
大げさか。ははは。



<追記>
東京国立博物館の表慶館では、キトラ古墳展にあわせ、
「飛鳥 ─ キトラ2016 ─」
という催しをやっていた。
明日香村のさまざまな見どころをパネルなどで紹介しているのだが、
「猿石プロジェクションマッピンング」
ってのが結構面白かった。

猿石(宝姫王の母、吉備姫王のお墓にある石)
の実物大模型に、いろいろな映像が映し出される、かなりの力作だった。

‥‥そういやぁ、猿石も「サル」だわね。
「吉備姫王」だし。
キビ団子と何か関係があるのかも。
誰か調べてみてください。(出ました、得意の丸投げ)



‥‥その会場で、係とおぼしき方から、
「大化改新、ご存じですか?蘇我入鹿が殺されたんですよ」
と話しかけられた。
「蘇我入鹿が? 殺されたんですか?」
などとブリブリしてみたワタクシ。
‥‥その事件は、正確には「乙巳の変」というんだが。

(2014年5月1日)

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